シンタくんが大事に育てている観葉植物たちが陽の光を全身に受け嬉しそうに光合成を繰り返しているのが分かる。
いつにも増してここの空気は爽やかで、緊張して呼吸が浅かった私は思わず大きく深呼吸をした。
「何してんの?」
いつの間にかカウンターの向こう側にいるシンタくんが訝しげに私を見ていた。
「ハハハ……。気にしないで」
誤魔化しながらいつも通りカウンターのスツールに座ろうとしたら、シンタくんが私の前に手をかざしてそれを制止する。
「そこじゃなくて、今日はあっち」
「あっち?」
シンタくんが顎で指し示したのは私の後ろのテーブル席。
一番陽当たりのいい特等席のテーブルに白いクロスが掛けられ、ライトグリーンのランチョンマットが2人分向かい合わせにセットされていた。
その上には綺麗な三角に折られたモスグリーンの布ナプキン。
ナイフやフォーク、スプーンもお行儀よく整列し、チューリップグラスまで鎮座している。
「これ……」
完璧にコーディネートされたテーブルに呆然とする私に
「早く座って。料理運んじゃうから」
またまたいつの間にか私の横をすり抜けて、サラダが盛られたお皿をマットの上に静かに置いたシンタくんは
「はい、こちらにどーぞ」
手前の椅子を引いて、私に向かって鮮やかに微笑んでみせた。

