「いらっしゃいませ。どーぞ」
いつもよりかしこまった仕草でドアを開けて、シンタくんが私を店に招じ入れてくれた。
「お邪魔します…」
ドアを押さえてくれてるシンタくんに頭を下げながらおずおずと店内に入る。
何度も来て慣れている場所なのに初めて来るみたいにドキドキした。
「明るい……」
入ってすぐに私の口から溢れた言葉はまずそれだった。
「そりゃ、昼間だからね。
今日はいい天気だし?」
私の後ろに立つシンタくんが呆れたように言う。
そりゃそうなんだけど。
こんなに早い時間にここに来るのは初めてなのだ。
いつもは木製のブラインドが下ろしてあってその姿すら見えていない大きな窓。
いつもは存在を隠されてしまっている窓が今は剥き出しになっていて、梅雨の合間の快晴の空の明るさをそのまま店の中に迎え入れていた。
ダウンライトで照らされている見慣れた店内とは違って、陽光で自然の明るさに溢れた店内はここにある命たちの力強さを私に教えてくれていた。

