「まあ、歳とか関係なく、私は初恋ってやつにも価値が見出だせないんだけどね」
雪が椅子の背もたれに体を預けて大きく伸びをする。
「雪の初恋って、幼稚園の時のタカシくん…だっけ?」
「タダシくんだよ。
もうどっちでもいいけどね。
今どこで何してるかも知らないし。
私が言いたいのはそういうことじゃなくて、初恋なんてそれくらい昔の思い出で終わるのがちょうどいいってこと」
「よく意味が分からない…」
首を捻る私に
「初恋ってさ、よく甘酸っぱいとかって表現されない?」
「は?」
キョトンとする私に微笑みかけて、雪は話を続けた。

