「……ったく。あんたたちは仲良くなったのか悪くなったのか。
陸くんの前でもずっとこの調子なんだもん。
見て見ぬふりしてた陸くんが一番大人だったよ?」
踊子さんは私たちを軽く睨みながら、でも瞳の奥では笑いながら、手際よく兄の前に食事を並べていく。
「ありがと。いただきます」
兄は礼儀正しく頭を下げてから、箸を手に取った。
兄の前には、踊子さんが実家からもらってきた筑前煮とお魚の粕漬けを焼いたもの。
それに青菜のお浸しと冷奴、ご飯にお味噌汁。
どれも少なめに盛り付けてあった。
「何かお祖父ちゃんが喜びそうなご飯でしょ?量も少ないし。
食べる時間が遅いからどうしてもこういう和食になっちゃうんだよね。
その分朝とお昼でボリュームのあるものたべてもらったり、公休日には必ずガッツリ系のメニュー作ったりしてるの」
踊子さんはそう言いながら兄に優しく微笑みかける。
「おかげさまで不規則生活でも健康そのものです」
静かにお味噌汁を啜る兄は、確かに以前よりずっと健康そうだ。
やりたい仕事に就いて、それを献身的に支えてくれる人がいる。
お兄ちゃん、本当に良かったね。
幸せそのものの兄が見れて、私はとても嬉しかった。

