「ーーーそりゃ、走太の方が正論だろ。
俺は何かの仮装してんのかと思ったわ、お前が」
「お兄ちゃんまでひどーい!!」
無条件で私の味方になってくれてもいいはずの兄にもバッサリ切り捨てられて、私は思い切り頬を膨らませる。
「ほれみろ。ハコフグ」
走太さんは得意気な表情で私に向かってニヤリと笑う。
マンションまで送ってくれた走太さんは、兄に用事があるとかでそのままこの部屋に上がり込んでいた。
カツオは玄関にぺたりとお腹をつけた伏せの姿勢でおとなしく寝ている。
兄が帰宅したのは23時を過ぎていた。
予備校の授業は結構遅い時間までやっているからこれが普通なのだという。
「何で人のこと馬だの猫だのフグだの動物にばっか例えるのよ。
それがムカつくんだけど」
「だからって突き飛ばすか?普通。
口で敵わないからってすぐに手を出すなんて正に動物的本能だろうが」
「あぁー、もう!!本当に腹が立つー」
いつまでも終わらない不毛な言い合いにキッチンから兄の夕食を運んできた踊子さんがため息をつく。

