「おっきくなってる……カツオちゃん」
「当たり前だろ。仔犬なんだから。
雑種だからはっきり言い切れないけど、もう一回りは大きくなるだろうってさ。
獣医の先生が言ってた」
「へえ…」
4ヶ月前に私が兄に頼まれてほんの少しだけ世話したカツオと名付けられた仔犬は、手足も太く立派な体つきになって成犬になろうとしていた。
楽しい時間を過ごして、マンションに帰ることにした私たちを走太さんが送ってくれることになった。
陸くんも同じマンションに帰るのだが2階の走太さんの部屋に忘れ物をしたと階段を駆け上がっていき、踊子さんはキッチンでお母さんとまだ話していて玄関先には私と走太さん2人きり。
走太さんが
「ついでにこいつを散歩させっか」
とカツオを連れてきてくれた。
私に会わせようとしてくれたんだと思う。
走太さんもちゃんと私に気を遣ってくれて、やっぱり大人だ。
なんて、走太さんをかなり見直していたのに
「お前さぁ、来たときからずっと思ってたんだけど…」
「何ですか?」
「その顔。どう見ても化け猫だぞ?」
今までの好印象全て撤回。
私は犬の頭を撫でながらしゃがんでいた走太さんを黙って突き飛ばした。

