「陸くん久し振りー。
ちょっと背が伸びた?」
目を丸くしている私の横で踊子さんはその男の子を抱き止めて頭を撫でている。
「千波ちゃん、この子ね、清海の教え子だった志水陸(シミズリク)くん。
今はね、走太が勉強とバスケを教えてるの。
今日は家庭教師の日じゃないんだけど遊びに来てたんだって。
陸くん、このお姉さんは清海の妹で千波ちゃん」
陸くんと呼ばれた男の子はくりくりとした瞳で私を見つめながら
「こんばんは」
と、言ってくれた。
この子が…。
教師の夢を諦めてしまっていた兄にシンタくんが紹介した男の子。
半年だけだったけど、兄は家庭教師として一生懸命勉強を教えてとても可愛がっていたとシンタくんが言ってたっけ。
私は「こんばんは」と返しながら陸くんの目線に高さを合わせてニッコリ笑ってみた。
陸くんはすぐに笑顔を返してくれた。
「千波ちゃんに会わせてあげたかったんだ。清海が先生に戻るキッカケになってくれた教え子」
「うん、ありがとう。
私も会ってみたかったよ」
キョトンとしている陸くんの頭をポンポンとしながら、
踊子さんの言葉に私は大きく頷いた。

