「さて、明日のランチは決まったけど、今日のディナーはどうしようか?」
踊子さんが腕組みをして頭を悩ませる。
「私は何でもいい。
いつもお姉さんが行ってるお店とか」
「うーん。最近はここばっかで他のお店に行ってないんだよね…。
…………って、ごめん」
不意に踊子さんがバックに手を入れて私にもう片方の手でゴメンのポーズをとる。
携帯に着信が入ったみたいだ。
「実家だ…。
ーーーはい?お母さん?
はっ?枇杷?
…………うん…………うん…………」
私は踊子さんからちょっと離れて立つ。
「……そういうことね……うん…………あ!そうだ!」
やがて、話を続けていた踊子さんが私を見てニッコリ笑う。
そして、その後もお母さんと少し話を続けて電話を終えた。
「千波ちゃん、行き先決まったよ」
得意気な踊子さんに私はちょっと顔をひきつらせて後ずさってしまった。
行き先が容易に想像できてしまったから…。

