「ねえ?初恋ってそんなに大事なもの?」
雪の声にずっと伏せていた視線を上げた。
「誰に告白されても断り続けて。
8回もチャンスがあったのに、高校生活通じて彼氏ゼロ。
そんなに拘り続けなきゃいけない人なの?
7つ年上の憧れのキミ、は」
「……6つだよ。6つ年上」
雪の質問には全く答えず、どうでもいいことを訂正する。
「あれ?千波ってお兄さんと7つ違いじゃなかった?
お兄さんと大学の同級生なんでしょ?」
「うちのアニキは浪人してるんでね」
「そりゃ失礼」
雪は軽く頭を下げながら、
「でも、7でも6でも大した違いじゃないよね」
と言った。

