食器棚を綺麗に拭きあげて、シンタくんを手伝って丁寧に梱包された食器類の包装を一つ一つ解いていく。
「踊子さん、一人暮らしなのに随分たくさん食器があるんだね」
「食器とか調理器具のコレクションが趣味なんだってさ。
数の多さに引かないでくださいね、って念を押されてたけど、こんなにあるとは思わなかった」
そう言いながらシンタくんは楽しそうだ。
仕事柄こういうコレクションには目がないのだろう。
「何がすごいって、これ全部ちゃんと使ってるんだってさ。
忙しくなっても週の半分は自炊するって決めてるんだって」
「踊子さん偉すぎる………」
「見習えよ?千波」
私が料理しないって決めつけてる。
確かにコンビニと学食で賄ってますけど。日々の食生活。
「俺も食ってみたいよ…。彼女の手料理とか。
清海が羨ましいな……」
ポツンと呟いたシンタくんに、私は早急に料理を覚えようと心に誓う。
「千波、後はこいつらしまうだけだからウメちゃん呼んできて。
収納だけは使う人に決めてもらわないと」
「うん。分かった」
私はまた踊子さんを呼ぶためにパタパタとリビングに戻った。

