3日間休んだ後、ついに俺は学校に行く事になった。


花音として学校に行くのは初めてだ。


「うーむ…」


うまくごまかせるんだろうか。


不安は拭えないけど、俺は意を決して教室に入った。


「かのーーーーん!」


!!!


突撃してくる女子集団。


怯んだ俺は、思わずドアに後退りした。


「心配したよー」


「もう大丈夫なのー?」


「頭打ったんでしょー?」


「ちょっと花音、痩せたんじゃない?ちゃんと食べてるのー?」


ちょっ、何?


なんなんだ?コイツら。


あぁ、そうか。


花音の友達か。


コイツ、やたら女友達が多いんだよな。


「ねぇ、立花君はどうなの?意識不明だって聞いたけど」


急に俺の名前が出て来たから、ドキッと心臓が跳ね上がった。


「あ、うん。ちょっと大変なことになってる」


「そうなんだ…。早く回復するといいよね…」


意識はここにあるんだけどね。


肉体の方はどうなっちゃうんだろ…。


「あの…、美倉さん」


聞き慣れた声に振り向くと、俺の後ろに恵介が立っていた。


『よう、恵介』と言いかけて、あわてて言葉を飲み込んだ。


「お、おはよう、佐野君」


うおーっ!


あぶねーあぶねー。


「あの、海司の様子は?」


恵介、心配してくれてんだな…。


「まだ意識不明なの。

家族以外面会謝絶だから、行っても会えないんだ」


「……そっか」


恵介、俺はここにいるぞー。


って気づくわけねーだろうけど…。


「とりあえず、美倉さんは無事で良かったね」


「うん、ありがとう」


そう言うと恵介は、寂しそうに自分の席へと戻って行った。