『花音…』


『ん?』


『俺ね、ずっと花音の夢を見ていた気がする』


『夢?どんな?』


『花音がね、真っ白い花が一面に咲いた花畑の中に立ってるんだ。

そこから必死に俺の名前を呼んでるんだ。

海司、目を覚まして。

早く目を覚ましてって、何度もね。

俺はもう戻るつもりはなかったんだけど。

あまりに花音がしつこいくらいに呼ぶから。

ちょっと戻ってみようかなって思って、花音の方へ歩いてみたんだ。

そうしたら目が覚めて、この病室の天井が見えて。

その直後に、花音が俺を好きって言う声が聞こえたんだ。

まだ…、夢の続きを見ているのかと思った』


『何度も呼んでよかった。

呼んでいなかったら海司、帰って来てくれなかったかもしれないもの』


『戻って来て良かった。

花音と気持ちが通じ合えたし。

こうやって、キスだって出来るんだから……』


『ちょっ、もう!さっきから何回してんの!んーっ!』


『ちゃんと歯磨きしたし、いいだろ?』


『そ、そういう問題じゃない。あ…っ、ん』


『おー?お前、意外に色っぽい声出すんだな。もっと出して?』


『なっ!ここ、どこだと思ってんの!』


『退院したらすぐに俺の部屋に来い。

いっぱい鳴かしてやるからさ……』


『バ、バカ!っていうか耳元で囁くのはやめてっ』




そんなわけで。


私の必死な呼びかけが効いたのか。


海司は奇跡的に目を覚ましたのだった。