「花音ちゃん、今日も病院に行くの?」


部活が終わった後、恵介君に声をかけられた。


「うん、行くよ。恵介君はどうする?」


あの試合の日から2週間経った今でも、海司はまだ眠ったままだった。


「俺は今日は用事があって行けないんだ」


「そっか。じゃあまた明日」


恵介君にくるりと背を向けて走り出すとすぐに、「待って」と声をかけられた。


「なあに?」


急いでるんだけどなーと思いつつ振り返った。


「花音ちゃん。あの、さ。こんなこと言いたくないんだけど」


「ん?なに?」


なぜか言いにくそうに口をつぐんでいる恵介君。


「花音ちゃんにとって、海司は友達なんだよね?」


「え?

あーうん、そうだよ。それがどうかした?」


なんで今さらそんな質問を?


不思議に思って首を傾げていたら。


恵介君は一度空を仰いでから、ため息と共に私を見つめた。


その目は、なぜかひどく悲しそうだった。


「この頃、すごく感じるんだ。


花音ちゃんの海司に対する思いって、


友達以上なんじゃないかなって……」