海司は絶対安静の状態なので、家族以外は面会謝絶と言われ、私と恵介君は海司の姿を見ることは出来なかった。


仕方なく、私と恵介君は病院を後にした。


「海司、大丈夫かな…」


歩きながら、ポツリと恵介君が言った。


向こうの選手はすぐに起き上がれたし、元気そうに帰って行ったのに。


どうして海司だけが、目を覚まさないんだろう。


「意識が戻らないっていうのは、かなり心配だよね。前は2ヶ月も戻らなかったんだし」


「でも、今回は前回とは違ってバイクの事故じゃなくて、人とぶつかったんだよ。

だから、前ほどひどい状態じゃないと思うの。

きっとすぐに目を覚ますはずよ」


「そうだよね。海司は大丈夫だよね。

元気に復活して、また一緒にサッカー出来るよね」


「うん」


私と恵介君は、笑顔でお互いを励まし合った。


絶対に大丈夫。


きっと明日には、元気に目を覚ますはず。


私はそう信じて疑わなかった。