「別にそのままで行けばいいじゃん。

服はそれなりのが揃ってるだろう?

ついでに下着だって、男好みのヤツしかないんだし。

なんの心配もいらねーよ」


布団から出した手をヒラヒラと振って、気だるそうに答える海司。


「メイクって、女の子にとってすごいパワーだと思うんだ。

綺麗にしていると、勇気がもらえるっていうか。

佐野君とふたりきりでも堂々と話せると思うの。

素のまんまじゃ、オドオドして何も話せそうにないのよー」


憧れの佐野君とのデート。


いや、実際はデートではないんだろうけど。


緊張して何も話せないで終わるのだけは、絶対にイヤだ!


「しょうがねーな」


そう言って、ムクッと起き上がる海司。


「じゃあ、メイクしてくれるの?」


「あぁ……」


「やった~!助かる~!」


眠そうだから無理かと思ったけど、その気になってくれて嬉しい。


「ーで、化粧ポーチは?」


「あるよ、ここに」


そう言って海司にポーチを両手で手渡した。


「座れよ」


「うんっ」


海司に言われるまま、私は海司のベッドに腰を下ろした。