「八神さんって、結構食べるんだね。意外」
私が少し笑うと、八神さんは顔を赤くさせた。
「恥ずかしい…甘いもの大好きなの」
八神さん、本当に女の子らしいな。
私も甘いものは好きだけど、そこまで好まないし。
「あと、私のことは萌でいいよぉ」
目を細めてニコッと笑う八神さん。
萌…か。
水原くんは、萌ちゃんのことをそう呼ぶ。
ーー『真湖!』
文化祭の日。
水原くんに、そう呼ばれなことを思い出した。
好きな人に名前で呼ばれるだけで、こんなに嬉しいことなんだね。
あの時…本当に、嬉しかったんだよ。
「そういえば、話ってなに?」
私がそう聞くと、萌ちゃんは「あっ」と声を出して、苦笑いしながら口を開いた。
「真湖ちゃんは…私と流矢のこと、色々知ってたり、するよね…?」
色々…
「…うん。祐介くんに、全部聞いた」
「そっか。祐介、流矢と仲良いから、知ってて当たり前か」
思い出すだけで辛い。
できれば、思い出したくない。
「本当に、流矢は悪くないの。私が全部悪いから。あの日、私、洸耶にフられたの。
自分でも分からないくらい、頭がごちゃごちゃになって。
気付いたら、流矢に甘えてた。
流矢はいつも優しくて、こんな私のことを好きだって言ってくれた。
だから、流矢になら甘えていいかもって、思った」
