「あ…。」
そう言えばあのときのリュック。
朝背負ってたのと違うものだった…。
「あ゛ぁぁ…。
どうして気づかなかったんだろ…。」
私がそんなことを呟くと、
「どうかしましたか…?」
と声をかけられた。
「どうしたもこうしたも…
ってあっ!!
はい、だいじょぶです…。」
振り返ると、双子の一方が声をかけてくれた。
横並びの席の後方のドアと中間のドアそれぞれ端にいるのに、気を使ってわざわざ声をかけてくれたのか。
はたまた言動がいちいちおかしい私をからかいに来たのか。
どちらにせよ、独り言が聞かれていたなんてこれほどまでに恥ずかしいことはない。
「そうですか。」
と笑いかけてくれた一方にお礼を言って私も笑いかける。
彼はその様子を見て元の席へ戻っていった。


