短編小説集 片恋


そう言い、彼は大きく深呼吸した。



「――えみちゃん、俺、えみちゃんのことが好き。


俺と付き合ってください!!」



「え…。」


千尋君の言葉を一生懸命、頭の中で反復する。



千尋君が、私のことをスキ…?





嬉しさで涙が出てくる。



そんな私を見て焦る千尋君。


「ご、ごめん!!

そんなに嫌だった…?」


その言葉に、慌てて首を横に振る私。



私は千尋君に抱きついた。


「え、えみちゃん!?」


「千尋君。

私も一回しか言わないからよく聞いてね…?





私も、千尋君のことがスキです。

―よろしくお願いします…。」



千尋君は私の肩を掴み、ばっと体を離す。



「ほ、ほんとに?」

その言葉に迷わずにこくりと頷く私。



千尋君に抱きしめられる。
ありがとうと言いながら。