「え、いいんですか…?
千尋君が帰り遅くなるんじゃ…。」
「あ、俺はいいの!!
だから、ね?
俺も暗い中、女の子一人で帰るのはちょっと心配だし。」
「じゃあ、お願いしてもいいデスカ…?」
千尋君の誘いに動揺して語尾が片言になる私。
そんな私の変な発言に二人で顔を見合わせ、ぷっと噴き出した。
――――――――――
家への帰り道。
千尋君と二人で歩く。
私が変な発言をしてからというもの、それからは緊張がほぐれ、他愛もない話を千尋君と延々と続けていた。
楽しく話していたからなのか、いつの間にか家の前に到着する。
「千尋君、今日はわざわざありがとう。」
そう言って、家の門に手をかけ、中に入ろうとすると、後ろから
「まって…。」
と呼び止められた。
何かと思い、振り返る。
「えみちゃん、いきなりでごめん…。
一回しか言わないから、よく聞いて…?」


