「「……。」」
二人の間に沈黙が訪れる。
私は沈黙に耐えきれなくって、口を開いた。
「「あのっ…」」
千尋君と声が重なる。
「あ、千尋君先にどうぞ。」
「ううん、えみちゃん先にどうぞ!!」
二人で譲り合い。
この譲り合いはしばらく続いた。
「私は、言っても言わなくてもいいんで、大丈夫ですよ?」
「あ、うん。
なんかごめんね?」
そう言うと、千尋君がぽつりぽつりと話し出す。
「あの、その…。
今日の帰り、家まで送っていくよ…。」
彼の口から発せられた言葉に私の動きが止まる。
今、家まで送るって…言ったよね…?
「い、いやっ、その…。
ほら、最近暗くなってきてるでしょ?
だから、その…。
まゆちゃんから連絡あって、えみちゃん今日親御さんの迎えがなくて心配だからって…。」


