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「それじゃあね。」
ヒラヒラ手を振る千尋君にヒラヒラと手を振りかえす。
電車を降りた後、ほっと胸をなでおろす。
緊張した。
今までで一番。
千尋君を意識し始めてから、胸の高鳴りが止まらない。
私は胸の高鳴りを押さえながら急いで学校へ向かった。
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「あ、まゆおはよー!!」
「おはよー!!」
「もー、まゆいないから電車すっごい緊張しちゃったじゃん!!」
「あはは、ごめんごめん。
で、どうだった?」
「え、どうだったとは…?」
「え、千尋君と二人っきりだったんだよね?」
「うん、そうだけど…。」
まゆはその返事を聞き、携帯を確認して、あぁーといったような顔をした。
「なになに、どうしたの?」
「ううん、なんでもない!!」
私は、まゆのその意味深な行動に疑問を持ちながらも、「なんでもない」という一言からそれ以上踏み込めなくなったため、諦めて「そっか」とだけ返しておいた。


