家に着いてからも、まだ離れないあの時の真尋君の言葉。






『千尋がね、先週声かける前から、えみちゃんのこと可愛いって言ってたんだよ?』



千尋君が、私のことを可愛いって言っていた。



そのことに胸が高鳴る。






いままで恋愛なんてろくにしたこともなかったえみは、この胸の高鳴りに、とてもびっくりしていた。




ドキドキと高鳴る胸と、真尋君の言葉に顔から湯気が出るんじゃないかってぐらい赤くなる。








そんな時、ぴろりん♪と携帯の着信音が鳴る。



携帯を確認すると、それは千尋君だった。






『今、真尋がいつになく俺のこと見てにやけてる。』



そんな文面。
添付されている写真には真尋君の写真があった。






くすくすと笑う。


でも、真尋君の言葉で今までのことを思い返す。


朝、真尋君と乗り合わせたことは1度もなかった。
初めて声をかけてくれたのも、千尋君。




メールはいままで千尋君からのものばかりで、真尋君と連絡先を交換しても、一度も連絡を取り合ったことはなかった。