ガタン、ゴトン…
ゆっくり揺れる電車内。
今日もあの人は私の向かいの席に座る。
「えみ、あの人いる?」なんて言いながらちゃっかり乗ってきた私の友人。
それに「まゆ、いるよ、ほら。」と返す私。
これが私たちの毎朝の日課。
私の乗る駅から一駅後のところから乗る彼。
降りる駅は、私がいつも降りる駅の二つ向こう。
歳は多分二つ上。
私の友達の、彼と同じ高校に通う知り合いに聞いたから多分二つ上であっている。
秋の電車のダイヤ改正に伴って、彼と同じ電車であることに気が付いた。
私の友達と二人で「かっこいいよね」なんて言っていたのが、彼を知り始めたきっかけ。
他は何も知らない。
最近知り始めた彼とは、一度も挨拶すら交わしたことがない。
意外と先輩方も知っている人みたいで、私の学校ではそれなりに有名だった。