そんなことを考えながら、ボーッと見ていると中の人が入り口へ近づいてくる。

ヤバい見すぎたかな。行こう。
そそくさと退散しようと思ったその時、
行く手をちょうどドアを開けたお兄さんに阻まれた。


おっと。すみません。
別にガン飛ばしたわけじゃないんです。


「すみません。ジロジロ見てしまって。
お掃除頑張って下さい。」

私はペコッと頭を下げた。


すると、その人は私の髪に手を伸ばし、
無言でスルスルと触り始めた。

えーっと……。何でしょうか。
痛みすぎてて、怒られるのかしら。


「何ヶ月も切ってないでしょ?ダメだよ。せっかく綺麗なのにもったいない。」

やっぱりか。そりゃこれを美容師さんが見ればそう思うよね。
しかし、サラッと綺麗とか言っちゃうあたり、さすが美容師さんは口が上手い。