「ただいまー」
ひかりを迎えに行っただけですごく疲れた。
俺の声に続きひかりが
「たっだいまー!」
と元気よく叫ぶ。
満月はひかりの妙な雰囲気に圧倒され、口数が少なくなっている。
「ひかり。お前はもう寝とけ」
ひかりのテンションが高いときは大体体調が悪い。
今も少しふらついているから心配。
「なーんーでー?私は元気だよー!」
嫌がるひかりを引きずるように彼女の部屋につれていく。
「元気じゃないだろ。呼吸も多いし脈も早い。休んどけ……な?」
諭すように柔らかく説得する。
ひかりは頬を膨らませてごねる。
「やだー!明と一緒にいる!一緒じゃなきゃやだー!」
そんな姿もかわいいのだが咳き込む姿を見ると心配の方が勝る。
「わかった。ひかりが寝るまで一緒にいる。それでいいか?」
ひかりが折れるのを待つ。
「むー。明ー、私のこと子供だと思ってるでしょー」
ふてくされてるのは変わらないけど少し笑った。
「そう思われたくないならもっとしっかりすることだな」
ひかりだけを部屋に残し、一旦廊下に出る。
満月が不思議そうに見つめ
「なぜ、部屋の外に出たのだ?寝るまでは一緒にいるんじゃ…」
疑問を投げかける。
俺は微笑み、満月の頭に手を乗せ
「俺が部屋にいたら、ひかりが着替えられないだろ?だから、ここでいつも待ってるんだ」
と、答えた。
ひかりが体調を崩し、俺にそばにいるよう要求してくるのは昔からだ。
もうなれたし、寂しいって言ってくれるのは素直に嬉しい。