目が、覚める。
いつもの自分の部屋で、静かにほっとする。
だるい体を動かし、服を着替えようと学校の制服を取り、寝巻きを脱いでいると
「あきらー!ごはんできたよー!はーやーくー……あ」
女の子が、入ってきた。
彼女は及川 ひかり。
訳あって一緒に住んでいる。
「ノックしろとは言わないけど、照れるなら入らない方がいいんじゃない?」
頬を真っ赤にして顔をそらすひかり。
俺が耐えきれずに笑うと
怒りながらドアをバタンッと閉めて去っていった。
ひかりは狼女。
でも、体が弱くってすぐに倒れてしまう。
「俺が治せるなら、すぐにでも治したいぐらいだよ…」
ひかりは治せない。
狼の血が俺の力を反発して、吸収してくれない。
体調が悪いのは顔色を見ればわかる。
それを隠そうとするのが、可愛いところでもあるけど。
危なっかしい。
廊下に倒れてるのを見つけたときは死んでるんではないかと心配した。
いつか、ひかりの病気も治せればなと思うけど…手がかりがひとつもない。
施設の蔵書を漁ってもネットで検索をかけても見つからない。

いつか、ひかりの病気を治せたら、俺はひかりに…ちゃんと、話したいことがある。