家に着く頃にはそのままベッドに飛び込みたいぐらい疲れていた。
「ただいま…」
「お邪魔するぞ」
ようやく満月を下ろすことができた。
ひかりがひょこっと顔を出した。
「おっかえりー!あれ?その子誰?ま…まさかっ…隠し子!?それか生き別れの弟とか!?やーん!かわいー!」
満月をみた途端騒ぎだし、抱き上げた。
困惑する満月をひかりに任せ靴を脱ぐ。
「そんなわけないだろ……。拾ったんだよ。施設に連絡したら引き取る人が出るまでうちで預かることになった。いいか?」
施設は、俺とひかりがいた場所。
いい人ばかりではあるけど、今は預かれないと言われた。
「もちろん!お金には余裕あるから平気!私こんなかわいい弟欲しかったんだよねー!」
ひかりは目を輝かせながら頬擦りをする。
キッチンに行き、夕飯の支度をしていると満月がひかりに話しかける。
「娘。名は何という?」
尊大な態度は変わらないが、まるでおじいちゃんが孫に話しかけるときのような優しさがあった。
「私?私は及川 ひかり。よろしくねー!」
ひかりの方は、満月に興味津々のようで楽しそうに満月と談笑した。

少し胸が痛むが、理由が分からないので何も対処できないと感じだ。