俺は、江口 明。
どうやら俺は、吸血鬼、らしい。
俺の両親は、普通の人だ。
なのに、俺が生まれ、歯が生え始めたとき、両親は驚いた。
小さな、可愛らしい歯のとなりに大人のものぐらいの大きさの牙が生えていたらしい。
それに、幼稚園を卒業するまで、液体物以外吐き出していた。
本当に吸血鬼のようだと両親は恐れ、俺を捨てた。
小学二年の夏のこと。
俺は特殊な人間が集められる施設に入った。
そこで俺は、自分が吸血鬼であると、教えられた。
太陽の光は平気。
にんにくも大丈夫。
銀は触ったことないけどこれからも触らないだろう。
吸血鬼は、特殊な力の多い種族らしい。
優れた運動神経。
切れた腕すら生えてくるほどの回復力。
他人の怪我や病気を治すことも出きる。

「そんなもの、誰も欲してない」

運動神経は制御しにくいし、回復力は気持ち悪がられる。他人を治せたってたかられるだけだ。

俺は、吸血鬼の力なんていらない。

大切な女の子すら救えないこんな力、いらない。