家に着き、瀬良君のマフラー眺めながら
今日のことを思い出していた。

今日は少しだけ
本当の瀬良君に触れられたように思えた。
それでもきっと、
彼のほんの一部に過ぎない。


不意に首すじに落とされたキスを思い出し
一人赤面していた。

「…………恋、か。」


それ以外に例えようがないこの感情を
私はまだうまく認めることができなかった。