この声が君に届くなら …


あたしと裕人は、歌うために東京に来た。

小さなライブハウスとかでも、どこでもいい。

ただ、歌える場所がほしいけん。


でも、あたしたちにはそれ以前の問題があった。


「とりあえず…4月になって、学校始まるまでに泊まる場所探さんと。」


そう。わざわざ東京の高校受けて、色々準備したのに、
まさかの住む場所決めてなかったってゆう、ね…


で、今は3月だから、タイムリミットは後1ヶ月。



「ごめんな、裕人。あたしが親には頼らんって、
余計な意地張ったせいやな…
裕人も、結構強引に連れてきたようなもんやし…」



なんか、急に申し訳なくなってきた。



「ははッ、なーに今更!梨花子に巻き込まれるんは慣れとるけん大丈夫やって!!
それに、約束したやん!『お前は俺が支える』て!」


「裕人 … まじでありがとう。あたしほんと、裕人おらんと駄目やね〜」


裕人には、感謝してもしきれない。

親との関係が上手くいってなくて、
グレかけていたあたしを救ってくれたのは裕人だった。