いつも迎えてくれる組員はまだ寝ているのか、誰一人といない。


おいおい、大丈夫かよ…。


ここで奇襲とかあったらやべぇんじゃねぇか?


まぁ、お父さんがいる限りそんな心配はいらねぇんだけど。


みんなを起こさないように、静かに家の中へと入る。


階段を上がってすぐのところに俺の部屋がある。


パーカーをベッドに置き、クローゼットから白い生地に狼が描かれた半袖を取り出す。


これと、チノパンツと黒色のカーディガンにしよう。


後は携帯さえ持ってたら大丈夫だな。


荷物多すぎても邪魔だし。


女の子としては失格だろうが、今は男なんだから大丈夫だろう。


ふと、部屋を見渡すと目に入った薄ピンク色の特攻服。


背中には〝初代総長、桃姫〟と書かれている。


…一応持っていくか。


特攻服をキレイにたたみ、リュックに入れる。


そうだ。


あれも念のために持って行っとくか。


これを使うことにならないことを祈るけど。


さてと、準備も出来たし行きますか。