日曜日の午後。
 昼食時を過ぎたファミリーレストランは、閑散としている。

「栞ってば、何がいいのさ?
 靴とか時計じゃ駄目なの?」

「うーん……あんまり背のびして高価なもの買っても喜ばないと思うから」


 柚月は無言でラザニアの皿をつつく。
 休日のため、パーカーにカーゴパンツ、スニーカーという動きやすい服装だった。

「じゃあ、ストラップにしとく? お揃いの」

「……今度は、子供っぽすぎない?」

「意外に、ワガママですね。栞サン」

 眼前で盛り上がる美少女ふたりを、じっと眺める。
 お互い頼んだ昼食もそこそこに、雑誌をテーブルに広げてあれこれ話していた。

「もう、お手上げ。彼氏の誕生日プレゼントなんて……もう一緒に選んじゃえば?」

「でも、一応、喜ぶ顔が見たいのですよ」

「えい、もう爆発しろッ! リア充がッ!」

 大声で差別的な言葉を吐き捨てるのは、笹原 莉子(ささはら りこ)。
 言うなり、ダンッとテーブルに拳を叩きつけたので、パエリアの皿とアイスティーのグラスが揺れた。