少しずつ近づく璃久。

どうしよう。こっち来る。当然だけど

でも、普通こんな緊張するもの?!

ばくばくとうるさい心臓

顔がニヤけるのが確実にわかる。

それでも何でもないよ風に言わなきゃいけない。皆の前だから。

「はい、これ。頑張って」

「ありがとうございます」

あぁ、昨日作ったお守りが今璃久の物になった。

このお守りに込めたパワーを原動力に明日からの大会、ピッチャーとして頑張って欲しい。

そう強く思いながら自分の並んでいた場所に戻って行く璃久の後ろ姿を見送る。

「ありがとうございます」

いつもより丁寧だったから、この言葉は少し貴重な言葉に感じる。