手でそっと包まれて、壊れ物を触るようにゆっくり優しく。


そんな彼にこれ以上求めることなんてない。


だけど、違う。


そんなことを繰り返すたびに罪悪感に脅かされる。


何度も何度も、告げようとした。


だけど、その雰囲気になるたび彼の悲しそうな顔が私の胸に鋭く刺さるの。








私達の日課となった帰り際のキス。

『じゃぁな。』


私の頭に手を乗せてバイクを鳴らして帰っていく。



毎日、私はその背中に「ごめんね。」って言う。