夕暮れ。どこからか、学校のチャイムが聴こえる。 走って家に向かうのか、小学生らしき子とすれ違った。 「祈璃って兄弟いる?」 突然アキがそんなことを聞いてくる。 「ううん、一人っ子」 「ああ、思えば典型的一人っ子だった」 「そーう? 初めて言われたー」 「見え透いた嘘は吐かない」 なんで分かったの。 首を傾げてみるけれど、肩を竦められて流された。 付き合った男の子にもよく「いのりちゃんて一人っ子でしょ」と言われた。 アキも何か繋がることを思ったのだろうか。