この顔をいのりちゃんは知っているのか。私が彼の隣に並んだとき、夜空を見上げた。 「祈璃が浮気相手だったらしいよ」 「それで、別れたの?」 「本命の彼女が出張ってきたんだと。公欠になった日、ずっと泣いてた」 仲が良い、という表現では申しわけないくらい。 彼は友情と愛情を以って、いのりちゃんを愛している。 だから頬に絆創膏を貼っていたのか、といのりちゃんの顔を思い出す。 「言わないでね」 三芳くんを痛めつけたことか、それともあんな連中と絡んでいることだろうか。