違う。居て悪いことは、別にない。
彼が座りこんでいる一人ならば。
「……え?」
「これ、三芳くん」
座りこむ真ん中の一人と対峙する一人ではない。それを取り囲む一人だった。
いつもと違う雰囲気を纏って、彼が指さすのは真ん中で座り込む一人。
その顔を確認する勇気どころか、近づこうとも思えなかった。
私が知っている彼は、いのりちゃんといつも並んでいて、温厚で、少し暗くて、本を読んでいることが多くて。
風でカサカサと揺れるビニール袋が煩い。
「アキ、どうする?」
三芳くんと対峙していた一人が彼の方を向いた。