アキが探しているのは昨日発売のゲームソフト。マイナーだからという理由で今日買いに来たんだけど、先ほど言っていたテレビの所為で完売しているらしい。

駅の階段を上っていく姿を見上げる。街灯はとっくに点いていて、あの店は四軒目。

ここらへんに無いなら、すんごい都会とか田舎にしかもう残ってないでしょ…。

振り返りもしないアキの背中に苛ついて、これが理不尽な怒りだということに気付きながら、反抗を表現してゆっくり歩く。

くるりとやっと振り返ったアキに、躊躇わず言った。

「もう帰る」

一瞬きょとんとした顔をするけれど、「あ」と思い出したように声を発した後、自販機を指差した。