海よりも深い溜息とはこういうのだと初めて思った。 「はあああ」 「今、堂本さんから幸せが抜けていったのが見えた」 「あんたには分からないでしょうね、この脱力感と後悔の念が」 口からは悪口が出てきているけれど、机に突っ伏したままなので表情は分からない。 アキが近くに来て「祈璃、来てる」と窓の外を指さした。 来てるって誰が? 雀があたしを呼んでいるのか、とその場から窓の外を見ていると「なにそれ、天然の真似事?」と堂本さんが起き上がってきた。 さっきまで試験の出来に溜息を吐いていたくせに。