その場面が思い浮かばないので、何の水をぶっかけたのかが分からない。

「もしかして、剃刀もその女が?」

「うん……『甘かった』って言ってた。もう少しで刺されたかもしれない!」

俺はテレビの電源を点けてゲームをセットし始める。

「あたしを浮気相手にって、本当。どういう神経してんだろうね? こんなに可愛いあたしをだよ?」

「そうだね」

「もっと早く出会いたかったって思っても良いくらいじゃない!? アキ、何してんの?」

「ゾンビ、倒すんじゃないの?」

カセットを入れた所で、振り向く。
泣きそうな顔をして、祈璃は腕を広げて前に倒れてきた。