それに追いつく少し前、堂本さんが聞いてくる。

「いつも思ってたんだけど、あんた呼びするのやめない? あたしが一番だけど可愛くないよ?」

「あんたが一番とも思ってないんだけど?」

「名前で呼ぼうよ、あたしも堂本さんって呼んでるし!」

ね! と強要してみる。
嫌そうにあたしを一瞥した。あれー、さっきは結構素敵な子だなあと思ったんだけどな。

ま、いっか。あんたイコールあたしというあだ名だと思えば。

門で立ち止まっているアキにゲーセンに行こうと言う少し前。

「い……のり、ちゃん」

体が固まった。バッと振り向けば、耳を真っ赤にしている堂本さん。まさか名前で呼んでくれるとは。

「かーわいい、堂本さん」




end.
20150130