アキはそれを見て可笑しそうに「良かったね」と言うけれど、それは自分が女子の体育に引っ張り出されないことを言っていると思う。

「堂本さん、賭けしよう。あたしがこのジュースを飲み終わるまでにアキが帰ってくるか来ないか」

「本当、仲良いよね。同じ中学?」

「賭けはスルー? アキか県外から来たから違う中学だよ。ちなみにあたしは宮岡中!」

「なんでそんなに仲良いの?」

この数週間で、堂本さんのスルースキルも上がったらしい。

純粋に首を傾げる彼女に、一言二言でアキとの出会いは語りきれない気がした。