自分の分は貰った、と思いながらそれを見れば、祈璃の名前が書いてあった。

「祈璃ちゃんの家知ってるでしょう?」

「知ってるけど、なんで」

「明日提出だから」

担任が忘れていたと言って配られた面談予定のプリント。本来なら金曜日に配られていたものだったらしく、申し訳ないと謝っていた。

祈璃の家は知っているけれど、行ったことはなかった。

ナツが大体夕飯の時間までに帰ってくるうちとは違って、夜遅くまで親がいないらしい。行きたいと言ったことも、呼ばれたこともなかった。

掃除当番を代行してくれる藤沢さんに反対の声をあげてまで断る理由もなくて、俺は堂本さんの教室まで行った。