あの頃は今よりもっと家が汚くて、ママの出来ない料理はコンビニやデパートのデリカに代わって。

ママがあたしに興味ないことに不満を持つことはなかった。

保護者参観に友達のお母さんが来ていても羨まし思ったことはないし、三者面談の予定が結局あたしだけ二者面談になったことがあって先生に心配されても大丈夫だった。

あたしは好きな人しか好きになれないから。

じゃあ今はどうだろう。

手を握られる感覚がして、目を開く。ぼんやりとした視界がくっきりとしてくる。

アキがいる。

「あ、おはよ」

夢か現実か考える前に、手を離したいと思った。