いる。今、隣に。
「……なんでアキここにいるの?」
「は? 何、記憶喪失?」
「違うし。何でちょっと嬉しそうなの」
あたしが何を言ってもアキはいた。いなくならなかった。
アキがあたしを好きだから。
そんなアキをあたしが好きだから。
じゃあ、アキがあたしを嫌いになったらあたしはアキを嫌いになる?
それは想像できない。
アキがあたしを嫌いになることが、じゃなくて。
声を発さないあたしを見て、アキが立ち止まっている。
人が少なくなってきたからか、手を引くことはしなかった。
「藤沢さんとばっか喋っててむかついた」
「え」