綿あめを千切って、口に運ぶ。

しゅわりと舌の上で溶ける味は極上なのに、あたしの頭は猛烈に苛々していた。

綿あめ買ってる内に二人でどっか行っちゃうなんて酷い。それに、アキは藤沢さんの隣歩いてるし、歩くの早かったし、遅めてくれたけど!

正確に言うといじけている。

もう知らないし。アキが話しかけても無視するし。

もぐもぐと屋台と屋台の間で綿あめを食べる。近くにカップルが来たけれど、敢えて空気を読まずに居座った。

ナンパ来いって思ったけれど、こういう時に限って来ない。というより、ナンパより食べ物ってひとばっかり。

「あ、祈璃」