少しだけ泣きそうな顔をしたので焦った。でも、藤沢さんは泣かない。

「アキくんのこと、ちょっとだけ好きだったんだけどなあ」

「ちょっとだけか」

「本当は、信頼されて好かれてる祈璃ちゃんが羨ましかったの」

返す言葉はない。俺も、女だったら同じことを思うかもしれない。

「早く戻ろ、祈璃が探してる」

「ううん。私はお好み焼き買って帰るから、後は二人で」

「祈璃の反感買うよ?」

その言葉に笑った藤沢さんが、ひらひらと手を振る。

「私、祈璃ちゃんに嫌われても平気だもーん」

この人、本当に変わったな。