その後にもお客さんが続いて入ってきていた。

「いらっしゃいませ」

「焼きそば三つ」

「1200円になります」

あたしがお金を受け取って、藤沢さんがお箸とパックをビニール袋に入れる。

「……えみ?」

それはあたしの名前じゃないけれど、あたしが顔を上げた。
名前を呼んだ男は藤沢さんを見ていた。

藤沢さんは顔を上げない。

「え、お前高校アケビだって……二年だって言ってたよな?」

嫌な感じがする。確かに頭が悪そうな顔だとも思ったけれど、それ以上に不穏な空気を感じる。

藤沢さんはこういう空気にする特技でも持っているのだろうか。