文化祭一日目午前中。

教室を出されたあたしは学校内をふらつくことに決めた。

「祈璃ちゃん、誰かとまわる?」

藤沢さんがお財布を持ってあたしの前に立っていた。

「ううん、一人でまわる予定」

「隣歩いても良い?」

どうして、と思う。
あたしには敵わないけれど、藤沢さんは頭が良いし見た目も綺麗。

なのに、たまに自信のない顔をするのはどうしてだろう。

「うん、じゃあどっちが多くナンパされるか勝負ね!」

「え」

「負けた方はお昼ご飯奢るってことで」

行きまーす、と廊下を進んだ。