言おうとすると、いのりちゃんが窓に張り付いていたのに気付く。 最近流行ってるギャグ? あんまりテレビを見ないから分からない。 「いのりちゃん?」 「いた」 がら、と窓を開けて身を乗り出す。小さいいのりちゃんはするりと落ちてしまいそうで怖い。 「アキ!」 大きい声で呼ぶ。私も下を見た。 ここは三階。確かに彼が歩くのは見えるけれど、他の階もガヤガヤと煩い。声が届くなんて……。 「アキってば!」 隣の三年生と話していたのに、彼は顔を上げた。 届くに、決まってるか。